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第2回論述 解答例/解説(2)

【問題】イベリア半島南端のジブラルタルは現在イギリスの領土となっているが、これは18世紀戦争におこった戦争の結果である。この戦争が、どのような原因から、どのような国々の間で戦われたのかを、100字以内で述べよ。

 

【解答例①】

スペイン=ハプスブルク家の断絶を機にブルボン朝のフランスによるスペイン王位継承を主張したため、反発したハプスブルク家オーストリア、イギリス、オランダと開戦した。一方北米では植民地を巡り英仏が戦った。(100字)

 

【解答例②】

ブルボン朝のフランス王ルイ14世の孫フェリペ5世がスペイン王に即位した。これに対しハプスブルク家オーストリア、イギリス、オランダが反発したため開戦した。一方、北米では植民地を巡り英仏が戦った。(96字)

 

※解答例①②の違い。

理想的には②だろう。しかし、教科書の記述からルイ14世の孫フェリペ5世までの知識を導くのは難しいので、①の形で書いてみた。また、スペイン継承戦争は、スペイン=ハプスブルク家の王統断絶よりも、ブルボン家スペイン王位継承が直接の原因であるため、①の冒頭「スペイン=ハプスブルク家の断絶を機に」は不要であるとも考えられる。教科書のみの知識でいけば、100字からかなり離れるので、枝情報として入れてみた。

 

【分析】

主題:ジブラルタルがイギリスの領土となった戦争の原因、参戦国を述べる。(100字)

条件:原因と参戦国を述べる。→国名を述べるのを忘れないこと。また、戦争の名前や条約の名前は求められていない。 

 

【ポイント】KP171〜172/177

①まず、この戦争がスペイン継承戦争(1701〜13年 さっき出てきた北方戦争の翌年ですね。)であることを特定する必要がある。戦争名は書かなくていいが、何戦争かわからないと解答を作れない。この戦争後のユトレヒト条約で、イギリスはスペインからジブラルタルを、フランスからニューファンドランドを獲得した。

 

スペイン継承戦争の原因

(1)スペイン継承戦争は、1700年にスペインのハプスブルク家の血統が断絶したため、フランス=ブルボン朝ルイ14世が孫のアンジュー伯フェリペ5世をスペイン国王に据えた。これにオーストリアハプスブルク家が反発した。

当然、スペインとフランスが共にブルボン家となれば、強大な陸軍国であるフランスと、植民地大国であるスペインが統合してしまうため、イギリスやオランダも反発した。

ルイ14世の対外戦争という側面→ブルボン家(仏)VSハプスブルク家の対立。

(2)当時フランスとイギリスは北米の植民地と商業の主導権をめぐって対立していた。(第2次英仏百年戦争)原因と参戦国を要求されているため、スペイン継承戦争でイギリスとフランスが対立した理由を書きたい。一番大きな原因は、北米での対立であった。

 

③どのような国々の間で戦われたのか。

(1)フランスとスペイン(ブルボン家

(2)オーストリアハプスブルク家)・イギリス・オランダ

 

【派生する知識として】

イギリスは節目となる条約のたびに、中継地となりうる島や海峡付近の土地をえている。(例:ユトレヒト条約では、ジブラルタル・ミノルカ島。ウィーン会議ではセイロン島、ケープ植民地、マルタ島)島国であるイギリスが海軍国として力を保持したのもここにある。近代に入ればインド航路の死守が命題に上がる。